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2018 Mac miniはすごい

Mac miniが4年ぶりにニューアルされて話題になっています。Apple社はディスプレイなしのデスクトップMacなどにもはや興味がないのではと思っていました。特にローコストのminiは見捨てられているのだと感じていました。なので、今回の新製品は意外でした。素晴らしいです。

CPUはモバイル用のBモデル

一番素晴らしいことはCPUがデスクトップに匹敵するCPUになったと言われていることです。従来のminiはひ弱なモバイル用CPUを搭載していたのが残念に感じていました。重量やサイズの制約がないデスクトップなら、性能を追求して欲しいと思っていました。

CPUはインテルの第8世代CPUと言われています。型番が8000番台のCPUです。製品が出回ればすぐに明らかになると思いますが、実際にどの型番なのかは今現在では明らかになっていません。でもおそらく8100, 8500, 8700ではないかと思われます。というのは3モデルの仕様が、インテルの仕様に合致しているからです。公式サイトで紹介されている仕様は以下です。

mini i3 4コア mini i5 6コア mini i7 6コア
動作周波数 3.6GHz 2.8GHz 3.2GHz
Turbo Boost 記載無し 4.1GHz 4.6GHz
L3キャッシュ 6MB 9MB 12MB

これに対して、8100, 8500, 8700の仕様は以下です。

Core i3 8100 Core i5-8500 Core i7-8700
Core/TH 4/4 6/6 6/12
動作周波数 3.6GHz 2.8GHz 3.2GHz
Turbo Boost 非対応 4.1GHz 4.6GHz
L3キャッシュ 6MB 9MB 12MB
TDP 65W 65W 65W

完全に一致しているので、ほぼ間違いないと思います。いずれもTDPが65Wなので、miniの筐体に入ると思われます。

ただし、通常の自作PC用に販売されているデスクトップ用の8100, 8500, 8700ではないと思われます。実は、本年4月に、Intelがデスクトップ版Core i7-8700と同仕様の8700Bを投入したというニュースがありました。

 IntelARKのホームページで、Coffee Lakeのラインナップに、ひっそりと「B」プロセッサが追加されている。いずれも出荷は2018年第2四半期とされている。
Intel、デスクトップ版Core i7-8700と同仕様の8700Bをモバイル向けに投入 - PC Watch

Bモデルは、デスクトップ用無印CPUと同じスペックのようです。ただ、パッケージがデスクトップ向けのLGA1151ではなく、モバイル向けのHプロセッサと同じFCBGA1440となっています。8700Bについてはこちらのサイトで詳細が紹介されています。

Core i7-8700B – Intel – WikiChip

CPUの形状はこんな感じです。

この記事の冒頭にある、アップル公式サイトの写真とそっくりです。なので2018 miniのCPUは8100B, 8500B, 8700Bだと思われます。

自作PCで使う現行インテルCPUはマザボとの接続がLGAです。ランドグリッドアレイという名前で、CPUの底にランドと呼ばれる楕円の電極パターンが印刷されています。マザボのソケットのピンがランドに接して接続されます。ソケットを使用することを前提とした構造です。これに対してminiで使われるBモデルはBGAだそうです。Bはボールで、接点部分にハンダボールが付いています。マザボ上の接点パターンに乗せて炉で加熱してハンダ付けします。なのでiMacのように簡単にCPU交換する事は出来ないでしょう。

今のタイミングなら、9000番台の第9世代CPUで作って欲しかった気もします。とはいえ、第8世代デスクトップ用CPUがmacOSで正式サポートされたことで、同じCPUを使っているHackintoshの安定性がさらに向上するものと思います。

チップセット

iFixItで分解されたところによるとチップセットはCM246というもののようです。CM246はCoffee Lake用のモバイル版チップセットで、H370/Z390などと同様にUSB 3.1 Gen 2と無線機能も搭載している様子です。これらがmacOSでサポートされていれば、H370/Z390搭載マザーボードでの自作が楽になると期待できます。

でも、新しいMac miniの「システム情報」を見ると、macOSではチップセットの無線機能を使わずに、従来通りBroadcom互換チップを使っているようです。こちらの記事に、システム情報のスクリーンショットが紹介されています。

一方でUSB 3.1 Gen 2の方は、インテル製コントローラをmacOSが使用しているようです。店頭にあった新Mac miniの「システム情報」を見たところ、USB 3.1バスのホストコントローラの記載に、PCI製造元IDが0x8086とありました。8086は、インテルの有名な初代16bit CPUの型番ですが、インテルのID番号にもなっています。インテル製ということです。ちなみに今までのmacOSではASMediaのコントローラを使っていましたので、PCI製造元IDはASMedia Technology Inc.のIDである0x1b21でした。インテルチップセットのUSB 3.1 Gen 2にmacOSのドライバが対応したと思われます。

省電力・iGPU Hackintoshは無用

今回のminiはピンは半田付けBGA方式のモバイル版ではありますが、中身はデスクトップ用と同等のCore i3 CPUを初めて搭載しています。CPU内蔵のiGPUだけを使って、省スペースで強力なHackintoshを作る必要性がなくなりました。グラフィクスカードを搭載しないMini ITXやMINI STX型小型Hackintoshはもやは不要です。本物のMac miniを買えば、デスクトップCPU搭載macOSマシンが手頃な価格で入手できるからです。もともとApple社が欲しいMacを作ってくれないので自作Hackintoshを始めたので、今回のMac miniが出て、Hackintoshが不要になることは嬉しい限りです。モバイル用省電力CPUではなくなったので、省電力を目指してi3 NUCでHackintoshする価値はまだあるかもしれません。

一方で、グラフィックスカードを搭載した重量級デスクトップHackintoshはまだまだ必要です。強力なグラフィックス性能が必要ならば、Thunderbolt経由の外部GPUボックスを使って欲しいというのがAppleの方針かと思います。でもThunderboltはPCIe x 4なので、フルサイズPCIe x 16に比べると接続ケーブルがボトルネックになります。ジサトラKTUのベンチマークテストでもかなりの差が出ています。


youtu.be

小型軽量が重要なモバイル機器ならThunderboltで拡張する意義はありますが、デスクトップではせっかくのGPUがもったいないと感じます。来年発表されると噂の「モジュラー型」Mac Proで、タワー型デスクトップHackintoshも無用の存在にして欲しいと願っています。

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