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Hackintoshのパーツ選び 【その2:マザーボード編】

改訂版:Slideの設定について追記しました(2020/2/25)
改訂版:現在の状況に対応しました(2018/12/15, 2020/7/7)

Hackintosh自作のためのマザーボードの選び方を紹介します。

マザーボードメーカはどこでもok

実のところマザーボードメーカはどこでも良いです。昔のマザーボードはBIOSを使っていました。その当時は、GigabyteがHackintoshと互換性が高いと言われていました。たまたま互換性の高い部品を使っていたこともあり、ハッカーな人たちが調べ尽くしていたからです。また当時は、それぞれのマザボに対応したパッチ当て済みのDSDTが必要でした。Gigabyte用のDSDTが多数配布されていたのに対し、他のメーカのDSDTはほとんど用意されていませんでした。なので、Gigabyte以外を選択する理由はありませんでした。

ところが、今のマザーボードはBIOSからUEFIに移行しました。もともとMacintoshはUEFIの元になったEFIに基づいて独自設計されています。UEFIはBIOSよりはMacintoshのアーキテクチャに近いので互換性が高いです。なので、UEFIに移行した現行のマザーボードなら、どのメーカを選んでも互換性に大差はありません。構成(スロットの本数、LANの数、m.2のソケット数などなど)が自分の目的に合っているか、見た目のデザインが好みかどうかなどで選んで良いです。

多少注意すべきところは.使用されているLANチップとサウンドチップがHackintoshで使用可能なのかのチェックです。ただ現在流通している主流のマザーボード(つまりCoffee Lake用)は、だいたい大丈夫です。念のためにtonymacx86のサイトで確認するのが良いです。ここに掲載されているマザーボードと同じか、同じLAN, サウンドチップを使っているなら大丈夫です。

以下に、それぞれのマザーボードメーカの印象をまとめておきます。PC自作する人たちはそれぞれのメーカに対する思い入れがあると思いますので、あくまで私見ということで読み流してください。

GIGABYTE

一時期より代理店が少なくなったこともあり、PCパーツ売り場の面積も以前ほど大きくなく、シェアが落ちている気がします。しかし、BIOS時代には事実上GIGABYTEしか選択肢がなかったことから、Hackintoshする人たちの間では今でも人気です。GIGABYTEはHackintoshに向いているという評価がいまだにあります。しかし冒頭に書いたように、UEFIの時代になり、カスタマイズしたDSDTが不要になり、互換性は各メーカとも同じと考えて良いです。私もBIOS時代にはGIGABYTEしか使っていませんでした。それでBIOS設定画面は見慣れていて、馴染みのあるメーカです。

ASUS

現在シェアが一番のメーカーです。ユーザが多いので、ネット上でのHackintosh関連情報が得やすいメリットがあります。マザーボードの型番とHackintoshという単語で検索すれば、何かしらの情報が得られるのはありがたいです。ただ売れているブランドだけに価格は少し高めな気がします。他社より高めなので、廉価版を買うなら他社の方が良い気がします。ある程度上級モデルを買うのが良いと思います。慣れの問題かもしれませんが、BIOS設定画面は、個人的にはちょっとわかりにくいです。例えばSystem Agent Configurationというメニューの下に、VT-d設定やGPU設定があることがすぐにはわからないと思います。

MSI

少し前に気に入って使ってました。まずは設定メニューがわかりやすいです。Gigabyte, ASUSと使ってきましたがMSIが一番わかりやすいです。でもこれはHackintoshとは関係ないですね。Hackintosh向けの理由もあります。それは、電源ボタン長押しでUEFIメニューに入れるGO2BIOS機能があることです。GO2BIOSは便利です。アップルの純正キーボードはBluetooth接続です。これを使っていると、タイミングによっては起動時の連打が効かなくてUEFI設定画面に入れないこともあります。そもそも、テンキー無しの純正キーボードにはDeleteキーが無いので、マザーボードによってはUEFI設定画面にすぐには入れないことがあります。なのでGO2BIOS機能はHackintosh向けの機能です。ただ、最近のMSI製品は、SATAの本数が少なくなっているので少し敬遠しています。

ASRock

最近人気のメーカです。コストパーフォマンスが良い製品を作っています。同じ価格なら作りが良いので、廉価版製品を買うならここが良いです。もちろん上位モデルも良くできていて評判が良いです。Hackintosher.comというサイトの記事ではASRockがお勧めのようです。実は使ったことがないので、Coffee LakeではぜひASRockで組んでみたいと思っていました。でも、PCIeスロット構成を検討した結果、ASUSになりました

メモリーの空き

ブート時にmacOSカーネルが読み込まれるデフォルトのメモリー空間に連続的な空きがない場合、KASLR(カーネル番地乱数化)というセキュリティ機能をオフにして、読み込み番地を指定する(slideする)必要があります。

macOSが起動するときに、早い段階で禁止マークが出て停止してしまうことがあります。多くの場合、カーネルを読込むメモリが確保できないエラーです。これをslideオプションで解決します。追記:この記事はCloverを前提に書いてあります。OpenCoreに関してはこちらをご覧ください。またコメントいただいたように、CloverにOpenCoreのツールを流用して対応することも可能なようです。症状禁止マークが出て早々に起動停止してしまう場合に、-vオプションで起動すると、"Error Allocating xxxx pages at xxxxxxxx"というようなメ...
slideでカーネル読み込み番地を調整する (Clover編) - Boot macOS

手元の300チップセットマザーボードをいくつか調べたり、皆さんのコメントをいただいたところ、ASUSは素直に空き番地があり、KASLRを有効のままで起動できるようです。MSIはKASLRをoffにしてslideする必要がありますが、それで安定して起動します。一方でGIGABYTEはメモリー空間が断片化されていて、苦労したというコメントをいただいています。ASRockについてもやはり設定に苦労するという話を聞いたことがあります。ということで、300チップセットマザーボードの場合、事例も多いASUSを選んでおくのが無難ではないかと最近考えています。(2020/2/25 追記)

フォームファクタ

もっとも一般的なATXマザーボードは、種類が多くて、好みで選べます。ケースが対応しているなら、ATXにしておけば良いでしょう。ただ通常はATXのPCIeスロットを使い切ることはありませんので、もう少し小さくても良いかもです。スロットの無い現行Macintoshからしたら贅沢な悩みですが。

micro-ATXのサイズは、スロット数が手頃なのですが、製品種類があまりなくてさみしいです。

小型マシンを組めるmini-ITXフォームファクターですが、Hackintosh特有の制約があります。 内蔵GPUの中にはmacOSで使用すると時々画面にノイズが出たり、ちらついたりすることがあります。実際にMacで使われていないiGPUの場合、当然ですが不安定なことが多いです。その場合、グラフィックスカードが必須で、1本しかないmini-ITXのPCIeスロットはグラフィックスカードで埋められてしまいます。mini-ITXには、WiFi/Bluetoothの無線機能が搭載されていることが多いです。しかし、これは完璧には動きません。macOSはずっとBroadcom社の無線カードを使っていて、これ以外のメーカ製品(インテルなど)のカードはドライバがなく使用できないのです。無線機能を使うために、手軽なPCIeカードが入手可能ですが、上で述べたように、一本しかないPCIeスロットはグラフィックスカードで埋まってしまっています。なので、もともと搭載されている無線カードを、互換性のあるものと置き換えるか、またはm.2ソケットに取り付ける必要があります。無線機能については以下をご覧ください。

チップセット

使用するCPUをサポートするチップセットを選びます。とはいえ、新品でパーツを買うとしたら、現行の最新チップセットの製品しか売られていないので、チップセット世代の選択で迷うことはないと思います。第9世代CPUならば、Z390, H370, B360、第10世代CPUならZ490などから選びます。

Zシリーズは、オーバークロック(OC)の機能と、CPUのPCIeを分割できる機能があります。後者は、グラフィックスカード2枚で描画高速化のできないmacOSにはあまりメリットが無いです。OCもしなければHシリーズでも良いです。ただ、Zシリーズは高価格の製品に使用されているので、基板の作りがしっかりしていたり、スイッチや表示の機能が豊富だったりします。また下位のチップセットになると、提供するPCIeのレーン数が少なくなります。PCIeとm.2とSATAなどで排他的な制約(片方を使うともう片方が使えなくなる)が発生しやすくなります。PCIeカードやSATAデバイスを多数利用する予定の場合は、注意が必要です。


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