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WiFi/BluetoothアダプタFenvi FV-T919

FenviのWiFi/Bluetooth PCIe拡張カードを入手しました。FV-T919という型番です。これに搭載された無線モジュールBCM94360CD はMac Pro 2013などで使用されているので、macOSと互換性が高く、OOBで問題なく動きます。

FenviのFV-T919を発注

Fenviというメーカが、Broadcomの無線モジュールであるBCM94360CDを使用したWiFi/Bluetoothアダプタを作ってます。PCIe拡張スロット (PCIe x 1) に挿して使用する拡張カードです。BCM94360CDはMac Pro 2013などで使用されている最上位モデル無線モジュールで、macOSとの互換性が高いです。取り付けただけで問題なく動き、iOSとのContinuity関係の機能も動作します。

最近のMacのWiFi/Bluetoothは、無線モジュール方式ではなくなって、マザーボードに直接組み込まれています。BCM94360CDは、自作ユーザが使える純正モジュールとしては、最後の世代です。BCM94360CDのようなBroadcomのmacOS用無線モジュールは、単体でも販売されていて入手可能です。おそらくは中古取り外しパーツや補修部品が流通しているのだと思われます。でも生産は終了していると思います。将来にわたって入手できる保証はありませんので、市場にあるうちに確保しておくのが良いと思います。

Hackintosh自作に適したWiFiとBluetoothカードを紹介します。今までお話しした、CPU、マザーボード、グラフィックスカードがHackintosh自作パーツの主役でした。これらが正しく選択されていれば、他のパーツはどれを使ってもとりあえず動きます。でも脇役なりにこだわっておきたいパーツもあります。WiFi / Bluetoothカードはその筆頭かと思います。結論長いので、結論を先に書いておきます。現時点 (2020/7) で、比較的入手可能なモジュールで、そのままで (OOBで) 使用できる製品は、以下です。 BCM94360CS2 (Broadcom独自コネクタ)...
Hackintoshのパーツ選び 【その4:無線編】 - Boot macOS

上の記事で紹介したように、BCM94360CDは単体で入手可能です。BCM94360CDのコネクタからはPCIeとUSBが出ているのですが、規格が特殊です。これをPCIeスロット、mini PCIe, M.2などに接続するためには、変換アダプタが必要です。アダプタはAmazon, eBay, AliExpressなどで多数販売されています。また、BCM94360CDとPCIeアダプタをセットにした商品もいくつかあります。FenviのFV-T919もその一つです。ただ、下の写真で示すように、製品としての見た目が良く、完成度が高い印象があります。tonymacx86のパーツガイドでも長らく推奨されていました。最近、AliExpressで継続して販売されている様子でしたので、一台を確保しました。


AliExpressで売られているFenvi FV-T919

届いたので開封する

発注から2-3週間して送料無料(送料込み)でシンガポールから届きました。エアキャップ緩衝材付き封筒を開けると、光沢カラー印刷された綺麗なボール紙外箱が入っていました。こんな感じの外箱です。

こちらは箱の裏です。輸送の途中で、箱の裏がへこんでいましたが製品には影響ありませんでした。macOS対応と書いてあります。

箱を開けると、中には、本体、アンテナ4本、USBケーブル、PCIeスロット取り付けネジ、カラー印刷の取扱説明書、CR-ROMが入っています。Hackintoshで使うWiFi/Bluetooth PCIeアダプタは大抵はそっけない本体だけの部品が届くのが普通ですが、これは一般消費者向け商品の体裁を保っています。

カード本体に、USB接続ケーブルを取り付けた様子です。アンテナ端子には、キャップもついています。カードの見た目で特徴的なのは、無線モジュールを覆う派手なFenviの金属カバーです。

この金属カバーは回路の接地に接続されて電磁シールドの役を果たしています。商品webページによると、このカバーと無線モジュールの間には、熱伝導シートが挟まれていて、放熱にも役立っているようです。カバーを外せば、Broadcom BCM94360CDが入っているはずですが、カバーは裏側4箇所で半田付け止めしてあるようです。半田を溶かして、シールドカバーを外して中を確認したい気もしましたが、やめておきました。

この手の無線モジュールは、電磁シールドして使うのが本来の使い方のようです。なので、Fenviの派手なカバーは伊達ではないと思います。アンテナ線はこのカーバーの中で無線モジュールのアンテナ端子に接続されていると思われます。カバー部分からPCIeスロット側のアンテナまでは、プリント配線されています。アンテナ線が露出せず、カバー内部に格納されているので、見た目がすっきりしています。また、アンテナ線やコネクタに触れたり引っ張ったりして、線が外れるトラブルがない点も良いと思います。

マニュアルとCDROM

箱の一番底に、マニュアルとCDROMが入っていました。

付属しているマニュアルを広げると、レターサイズ1枚もの印刷物でした。表裏で英語・中国語の説明が入ったイラストがカラー印刷されていて、簡単な取り付け手順が書かれています。実際のカードとイラストでは、形状、コネクタ、付属品が多少違います。例えばイラストはアンテナ2本のモデルになっています。またロープロファイルのパネルも描かれていますが、付属していませんでした。アンテナ4本ではロープロファイルは無理なので仕方ないです。説明書としてはわかりやすいです。

CDROMには、94360cd.rarというファイルが一つ入っているだけです。この名前からしてBCM94360CDが搭載されていることが推測できます。rarファイルを伸張すると、Windows 7/8/10用のドライバと、インストール方法をごく簡単に書いたテキストファイルが入っていました。macOSには不要のCDROMでした。

取り付けて動作確認

OOBで動く

取り付けは、他のPCIe無線アダプタと同じく、PCIeに挿して、アダプタからのUSBケーブルをマザーボード上の内部配線用USB 2.0コネクタに接続するだけです。こちらで紹介したMSI B360M Mortar Titaniumに9600Kを搭載したマシンに取り付けました。これ以外のハードウェア構成でも問題なく動くはずです。

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MSI B360M MORTAR TITANIUM, 9600K - Boot macOS

取り付けたところ、kext類やconfig.plistの設定は一切不要で、Wifi/Bluetooth両方ともOOBで機能しました。

Continuityとスリープ

iOSとのContinuityなども機能していて、Apple Watchを利用してのロック解除も可能でした。MSIのBIOSから、Wake Up Event Setupを選び、Wake Up Event By BIOSに設定し、Resume By USB DeviceWake from Sleepを有効にしたところ、スリープが正常に機能し、CPUファンや マザボのLEDが停止し、スリープ状態が保たれました。スリープからは、Bluetoothキーボード、トラックパッド操作で復帰させることもできました。ただ、すべてのマザーボードでも同じようにスリープが機能するかどうかはわかりません。また、すぐに目覚めてしまうことも時々あるようです。Power Napやネットワークアクセスによる解除などを有効にしているので、それらの関係かと思います。

モジュールの確認

シールドカバーを外して内部を確認することはしませんでしたが、販売サイトで説明されている通り、中身はBroadcom BCM94360CDだと思われます。手元には、Macで使われるBroadcom BCM94360CDモジュールをPCIeアダプタに取り付けたカードがあります。これを取り付けて、システム環境設定からUSBデバイスを確認すると、BluetoothモジュールのIDや仕様が確認できます。その全ての情報が、Fenvi FV-T919と一致していたので、まちがいなく同じハードウェアです。

まとめと補足

AliExpressでFenviのFV-T919というWiFi/Bluetooth PCIeカードを入手して使ってみました。Broadcom BCM94360CDを搭載しているようで、macOSでOOBで機能しました。アンテナ配線がすっきりしていて使いやすいカードだと思います。

この製品の外箱の裏にも、カードの裏のラベルにも、macOSに対応していることが書かれています。AliExpressの販売サイトを見ても、Hackintoshをターゲットにしていることがわかります。macOSをサポート対象にしてくれているので多少安心です。ただ、販売サイトには、macOS 10.12でBluetoothが動かないことが書かれています。BCM94360CDがSierraで動かないという情報は聞いたことがなかったので謎です。Sierraでも動く気がしますが、限られた条件で不具合のクレームがあったのかもしれません。10.12での使用を考えている場合は、一応注意した方が良いかもしれません。

追記:国内でも調達可能

記事ではAliExpressのリンクを紹介しましたが、最近ではAmazonでも売っているようです。

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