NUCで作る超小型macOSマシン

Next Unit of Computing (NUC)はIntelが提唱する小型ファームファクタのコンピュータです。10.16 × 10.16 cmのサイズの基板に、モバイル向けCPUが搭載されたマザーボード製品やベアボーン製品として販売されています。今のIntelのモバイル向けCPUはソケットではなく半田付けするタイプなので、自作したい場合にはNUCのようにマザーボードとセットになった製品しか選択肢がありません。Intelのモバイル向けCPUは、MacBookシリーズ、Mac mini、さらには一部のiMacで使われているので、Hackintoshする上での互換性は高いです。

NUCでmacOSすると良い事・悪い事

良い事

  • MacBook Air, MacBook Pro に相当する拡張が容易な小型デスクトップを作れます。
  • 拡張困難で新製品がなかなか出ないMac miniより小さいです。
  • 小型なのでMod PCに適しています。大福型iMac, G4 Cube, G4 CubeのACアダプタ、古いMac miniなどに組み込んでmacOSマシンにしている例もあります。
  • CPUは非力ですが、意外とキビキビ動きます。インテルのモバイル用CPU内蔵GPUがデスクトップ向けCPUより高性能だからだと思います。
  • モバイルバッテリーをつければ、モバイルなmacOSマシンも可能です。こんなモバイルバッテリーが使えるそうです。基板バージョンのNUCを使って、人体にフィットする薄型筐体を3Dプリンタで作れば、ウェアラブルなmacOSも可能だと思います。

悪い事

  • コストのメリットは少ないです。Mac miniのエントリーモデルは十分安いので、同じものをNUCで作る場合とほとんど価格は変わりません。本物のMacならばmacOSが将来にわたって確実に動くことを考えると、NUCをすることの価格的なメリットはありません。ただ、メモリやSSDを拡張すると差額は広がりNUCがお得になります。
  • Broadwell世代からWiFi用のmini PCIe / m.2ソケットが廃止され、WiFiが使えません。USBのWiFiは不安定で実用的ではないらしいです。Ethernet だけで使用するしかありません。
  • WiFiが無いと、iOSやwatchOSとの連携機能が使えないので、クライアント使用でも、割り切らないと辛いです。サーバ用途なら良いかもです。

macOSとの互換性

Core iシリーズを搭載したNUCの一覧を下の表に示します。

互換 型番 バリエーション CPU iGPU
? NUC7i5 DNKE, DNHE, DNBE i5-7300U Intel HD Graphics 620 (0x5916)
? NUC7i3 DNKE, DNHE, DNBE i3-7100U Intel HD Graphics 620 (0x5916)
CPU NUC7i7 bnh, BNHX1, BNHXG i7-7567U Intel Iris Plus Graphics 650 (0x5927)
iGPU NUC7i5 bnk, bnh, BNHX1, BNHXF i5-7260U Intel Iris Plus Graphics 640 (0x5926)
NUC7i3 bnk, bnh, BNHX1, BNHXF i3-7100U Intel HD Graphics 620 (0x5916)
NUC6i7 kyk i7-6770HQ Intel Iris Pro Graphics 580 (0x193B)
iGPU NUC6i5 syk, syh i5-6260U Intel Iris Graphics 540 (0x1926)
NUC6i3 syk, syh i3-6100U Intel HD Graphics 520 (0x1916)
CPU NUC5i7 ryh i7-5557U Intel Iris Graphics 6100 (0x162B)
CPU NUC5i5 ryh, ryk i5-5250U Intel HD Graphics 6000 (0x1626)
NUC5i3 ryh, ryk i3-5010U Intel HD Graphics 5500 (0x1616)
NUC5i5 MYHE, MYBE i5-5300U Intel HD Graphics 5500 (0x1616)
NUC5i3 MYHE, MYBE i3-5010U Intel HD Graphics 5500 (0x1616)
CPU D54250 WYK, WYKH, WYB i5-4250U Intel HD Graphics 5000 (0xA26)
× D34010 WYK, WYKH, WYB i3-4010U Intel HD Graphics 4400 (0xA16)
CPU DC53427 HYE, RKE i5-3427U Intel HD Graphics 4000 (0x166)
iGPU DC3217 IYE, IYR, BY, GKE, CK i3-3217U Intel HD Graphics 4000 (0x166)

この表の互換の項目は以下の意味です。

  1. CPU: 同じCPUが実機で使われているので互換性が高いです
  2. iGPU: 同じiGPUを搭載したCPUが実機で使われているので互換性があります
  3. ○: CPUもiGPUも実機で使われていませんが動作報告があります
  4. ?: 動作報告がありません
  5. ×: 動作しないとの報告があります

動作報告のある代表的なサイトを以下に示しておきます。

DC3217

www.tonymacx86.com

D54250

www.tonymacx86.com

5i7, 5i5, 5i3

www.tonymacx86.com

6i7, 6i5, 6i3

www.reddit.com

7i7, 7i5, 7i3

www.tonymacx86.com

おすすめのNUC

世代順に、Hackintoshに適したNUCを紹介しておきます。mini PCIeソケットのある機種なら、WiFiには、互換性のあるBroadcom BCM94322HM8L DW 1510などを使うと良いです。Bluetoothは、互換性があり入手容易なI-O DATA USB-BT40LEなどを使うと良いです。

一方で、最近の製品は、WiFiが半田付けになってしまったので、あまり魅力はないです。WiFiを使わないサーバくらいなら使えるかもです。昔の製品が格安に入手できる機会があったら試してみるのが良いかと思います。

DC3217IYE

最初に販売されたCore i搭載のNUCです。Ivy Bridge i3 3217Uを搭載しています。i3を搭載したMacintoshはありませんが、Intel HD Graphics 4000はMacmini6,2, MacBookAir5,1, MacBookAir5,2などで使われていて、動作します。DC3217IYEやこれのボードタイプがおすすめです。Ethernetの代わりにThunderboltのついたDC3217BYもありますが、HackintoshではThunderboltのホットプラグが効かず、不安定です。

DC53427HYE

DC3217の少し後に出た、同世代のIvy Bridge i5を使ったNUCです。この機種からUSB 3.0が搭載されました。搭載CPUはMacBookAir5,2で使用されています。

D54250WYK, D54250WYKH

Haswell i5 4250Uを搭載しています。MacBookAir6,1とMacBookAir6,2で使用されているCPUです。WYKは従来のコンパクトサイズの筐体で、WYKHはケースを大きくして2.5インチドライブを内蔵できるようにしたモデルです。一時期ドスパラで税込3万円未満で売られていました。

5i3MYHE, 5i5MYHE

Broadwell以降のNUCでは、大半のモデルでWiFi/Bluetooth無線ユニットがあらかじめ半田付けされるようになってしまいました。インテルチップ搭載の無線ユニットはHackintoshでは使えないので、WiFiとBluetoothを使いたかったらどちらもUSBで拡張する必要があります。しかしUSB WiFiは不安定で実用的では無いという評判です。Ethernetは使えますが、最近のmacOSではiOS / watchOSとの連携にWiFiが必要です。

その中でも、5i3MYHE, 5i5MYHEは、従来通り、mini PCIeのソケットがあって、ユーザが無線ユニットを差して使うモデルです。ただし、実機で採用されていないCPU/GPUを使っています。(それでも使用できるようです)

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です