インテルの第12世代CPUであるAlder Lake-Sシリーズは、Pコア(高性能コア)とEコア(高効率コア)で構成されてます。現状のhackintoshではEコアが適切に使えていません。なので12900KよりもPコア性能が高い12700Kの方が、高性能を引き出せるようです。
追記:最近の動作報告では、最適化が進捗して、12900Kの方が12700Kより若干高性能になってます。それでも差は小さいので、コストパーフォマンスを考えると12700KがmacOSに適していると言えます。(2021/11/29)
仕様を比較
発売されたモデルは、12900, 12700, 12600のKとKFモデルです。今後はもっと幅広いモデルが揃ってくると思われます。それぞれのコア数とクロック数を表にしました。
CPU | Pコア数 | PベースCLK | Eコア数 | EベースCLK |
12900K,KF | 8 | 3.2GHz | 8 | 2.4GHz |
12700K,KF | 8 | 3.6GHz | 4 | 2.7GHz |
12600K,KF | 6 | 3.7GHz | 4 | 2.8GHz |
12900と12700はPコア数が同じ、12700と12600はEコア数が同じです。また、どちらのコアも、下位モデルの方がクロック数が高いです。ということで、例えばPコアだけを使う場合を考えると、12900よりも12700の方が性能が上と言えます。
追記:ベースクロック数の比較では12700の方が高性能ですが、キャッシュ容量などは12900の方が多いので、トータルな性能では12900が上のようです。
Alder Lake-SでmacOSを動かす
tonymacx86のスレッドを見ていると、Alder Lake-S上で、macOSがそこそこ順調に動いている様子です。
ただ、ハイパースレッド(HT)の動作に課題があるようで、完璧な性能は引き出せていないようです。現状でカーネルパニックを引き起こすことなくmacOSが稼働するパターンは、
- PコアのHTを有効にしてEコアを無効にする
- PコアのHTを無効にしてEコアを有効にする
というようにBIOS設定した場合です。HTが効く・効かないコアが混在したコア構成にmacOSが対応できていないのもしれません。
Geekbenchのスコアで比較
公開されているGeekbenchスコアを見て、12900, 12700, 12600の性能比較を試みました。Acidantheraで検索するとhackintosh関係のベンチマークが現れます。その後にプロセッサ名をつければ、それを使ったhackintoshのスコアが見られます。例えば、
https://browser.geekbench.com/v5/cpu/search?q=Acidanthera+12700k
とすると、12700Kのスコアが見られます。こうして見つけた12900K, 12700K, 12600Kスコアのグラフが以下です。
12600Kは現在1件しか登録がないので、このスコアはあまり参考にならないかと思います。12900Kと12700Kは、30件程度の登録があります。8コア、12コア、16コアのデータがありました。Eコアを無効にしてHTを有効にした結果が8コア、Eコアを有効にした結果がそれ以外だと思われます。12700Kを8コアで使用(Pコアのみ使用)した場合が、一番性能が良いようです。
追記:最近の報告では、最適化が進捗して、12900Kのマルチコアスコアは13,000から16,000くらいに向上してました。ただし15,000超えのスコアはオーバークロックした場合のスコアのようです。定格使用での差は少ないのでmacOS用としては12700Kが良いと思います。
macOSには12700Kが良い?
Geekbenchに8コアと6コアのスコアをアップロードしたmacOSマシンは、Eコアを無効にしているのだと思われます。おおむね仕様を反映した結果になっています。下位モデルの方がクロックが高いので、シングルスコアも高いです。マルチスコアにもそれが反映されています。12900Kと12700KはPコアの数が同じですので、Eコアを無効にした条件では、12700Kの方が高いスコアになったと考えられます。追記:現在では12900Kの方が高スコアです。
ということで、Pコアしか使えないmacOSを使用するなら、高価な最上位機種の12900Kを買うよりも、12700Kの方が高い性能を得られそうです。ただし、もしも今後、Pコアのハイパースレッドと、Eコアが全て使えるようになれば、逆転すると思われます。