第10世代デスクトップCPU 10900Kを搭載したASUSのZ490マザーボードに、OpecCoreで起動するmacOS Catalinaをインストールしました。CPU, GPU, スリープ、Ethernet, サウンド, WiFiが全て動き、安定しています。間も無く登場すると言われているComet Lake-S搭載iMacに匹敵するマシンになると思います。
目次
ハードウェア構成
こちらの記事で、10600を使ったhackintoshを作りました。これのCPUだけを10900Kに交換しました。他の設定は全く変更なく、引き続き動きました。
マザーボード
マザーボードは、ASUS micro-ATXマザーボードのROG STRIX Z490-G GAMING (Wi-Fi)です。しっかりした作りでよくできています。販売サイトの製品写真ではバックパネルカバーのロゴが黄色です。でもこれはフルカラーLEDなので、Windowsからならば何色にも設定できると思われます。デフォルトでは時間と共に色が変化します。Wi-Fiを搭載しないモデルは2,000円安いです。WiFi用のM.2ソケットでBroadcomのカードが動くかと思ったのですが、これはCNVi専用でした。なのでWi-Fi無しの方が良かったかもしれないです。
CPU
10900Kです。10コア20スレッドです。12面体という奇抜な外箱だった9900Kに比べて、普通のコンパクトな外箱になったと思っていたのですが、実物を見るとこれもなかなか奇抜でサイズ感がありました。微妙な角度でCPUが保持されています。
GPU
CPU内蔵のiGPUであるIntel UHD Graphics 630はほぼ稼働しました。ただし、Display Portのみが機能し、HDMIでは出力できないです。また、「画面共有」を設定しても他マシンから接続できませんでした。このCPUでiGPUを使い続けることはないと思うので、緊急用としたらこれで十分でしょう。
そこで、PCIeスロットにグラフィックスボードを接続し、こちらを主に利用します。現在挿してあるのは、Sapphire NITRO+ ブランドのRadeon RX 580です。全く問題なく動いています。
WiFi / Bluetooth
BroadcomのBCM94360NGを使用してます。アンテナ端子は、マザーボードのバックパネルに取り付けてあります。詳細は、こちらをご覧ください。
BIOS設定
BIOSの設定は、ほぼ工場出荷時設定で大丈夫です。Legacy USBをdisabledにするなど、やっておけば良い程度の変更をしました。デフォルト設定のままであってもmacOSの起動に支障をきたすことはありません。
よくあることのようですがメモリーが2133MHzと認識されていました。2666MHzのメモリーなのでBIOSでそのように設定しました。メモリー速度設定はGeekbench 5のスコアに影響を与えます。
使用したefiとkext
ACPIには
- SSDT-AWAC.aml
- SSDT-EC-USBX.aml
- SSDT-PLUG.aml
- SSDT-RHUB.aml
を入れました。Driversには、
- VBoxHfs.efi
- OpenRuntime.efi
- OpenCanopy.efi
を入れました。Kextsには、
- AppleALC.kext
- FakePCIID.kext
- FakePCIID_Intel_I225-V.kext
- Lilu.kext
- SMCProcessor.kext
- SMCSuperIO.kext
- USBPorts.kext
- VirtualSMC.kext
- WhateverGreen.kext
を入れました。このうち、macOSの起動に最低限必要なのは、以下の3個です。
- WhateverGreen.kext
- VirtualSMC.kext
- Lilu.kext
USBPorts.kextは、USBを15個指定する自作kextです。なくても、USBポートの一部が動かないだけで、macOSの起動には問題ありません。作り方は以下をご覧ください。
SMCSuperIO.kextとSMCProcessor.kextは、CPU温度などをモニターするkextです。これも特に必要なものではありません。使い方は以下をご覧ください。
FakePCIID.kext, FakePCIID_Intel_HDMI_Audio.kextの2個は、マザーボード搭載のEthernetチップを動かすために入れてあります。このマザーボードから新しくなったチップなので、偽装する必要がありました。将来的には不要になるかと思います。これも無くても、LANが動かなくなるだけで、macOSの起動には問題ありません。詳しくはこちらをご覧ください。
ToolにはOpenShell.efiを入れました。ちなみにOSとブートローダは以下です。
- macOS Catalina 10.15.6
- OpenCore 0.6.0
config.plistを作る
OpenCore配布パッケージにあるsample.plistを元に、変更を加えてconfig.plistを作っていきます。下記のComet Lakeガイドのページにほぼ従いました。
ディスプレイの設定は、Radeonのグラフィックスボードを使うので、ヘッドレス用の以下の設定にしました。
<key>PciRoot(0x0)/Pci(0x2,0x0)</key> <dict> <key>AAPL,ig-platform-id</key> <data>AwDImw==</data> </dict>
サウンドの設定はこちらをご覧ください。
ここで使用したconfig.plistを以下で公開しておきます。シリアル番号などは有効な番号が入っていますが、ネットに接続する前に必ず自分用の番号に置き換えてください。
シリアル番号などの作り方は、こちらをご覧ください。
動作確認
ほぼ問題なく動作します。動作確認したことは、
- スリープ
- iGPU (DisplayPortのみ。画面共有は不調)
- グラフィックスボード (RX 5700XTとRX 580で確認)
- WiFi/Bluetooth
などです。このほかに問題はありません。
ベンチマーク
Geekbench 5でベンチマークしました。マルチコアスコアで10,000超えが目標だったのですが、達成できました。
ちなみにCore i5 10600では6300くらいでした。コア数が6だったので、妥当な値でした。
今回のスコアを実際のMacと比較すると14コアiMac Proと12コアMac Proの中間くらいです。クロックが高いのでコア数が多いMacに勝ってます。Apple Siliconが10,000超えのスコアを出してくれるまでは、Intel搭載デスクトップは安泰な気がします。
ベンチマークを動かしていた時のAcvitiby Monitorです。20コアが働いてます。
iMac20,2が出ました(追記)
Comet Lake-S搭載の27インチ iMacが発表されました。最上位モデルのCPUは10910のようです。Apple用のカスタムチップで一般には販売されないモデルです。10900Kと10900の中間の性能のようです。Geekbenchに上がっているスコアによると以下のようです。10900Kよりはクロックが低いので、スコアは10000前後ギリギリのようです。実機よりちょっと高いベンチマーク結果が得られるところが、自作PC hackintoshの醍醐味だと思います。
まとめ
Core i5 10600で動かしていたマシンのCPUを10900Kに交換しました。全く問題なく動きました。Geekbench 5でのマルチコアスコアは10,000を超えました。Comet Lake-S搭載のiMacが出たら、シリアル番号などをそれに合わせて設定し、本格的に使用したいと思います。